賛成と反対。肯定と否定。ああ言えばこう言う。相手が言い返せなくなったら「はい、論破」。
この世には、男と女、大人と子供、内側と外側、主体と客体……どちらかであれば、どちらかでない関係性がある。論理学でそれを「二項対立」と呼ぶ。二つの概念が矛盾または対立の関係にあること。また、元々は一つの概念であったものを二分することで“それを矛盾や対立をする関係へと持っていくこと”を指すこともある。
「黒と白、そりゃどっちもあるよね〜」
という話でもあり、
「黒でないものがあるから、黒があるよね〜」
という話でもあり、
「黒と白混ぜて、グレーもあるよね〜」
と言う話でもあるのだが、今の世の中は、すぐ二項対立させたがる。
「黒しか勝たん」「あぁ〜何もかも白だったらいいのに」「白を好きな人って、世の中見えてる?」「黒を好きな人に、白を好きな人の気持ちなんてわからないよ」「そもそも白って存在しないから!はい論破!」「黒作ってるのは、三原色だから!はい論破!」
極端な意見は、時代にウケる。
……
『アウフヘーベン』という言葉をご存知だろうか。ドイツのヘーゲルが弁証法の中で提唱した概念だ。身近になるかわからないが、2018年にMrs.GREENAPPLEさん『アウフヘーベン』という曲を出している。
アウフヘーベン、要は、Aという立場、Aと対立するBの立場があったとき「喧嘩するんじゃなくて、一段階高い次元でどうにかしたいよね」ということ。
例えば「ミルクティーが飲みたい」という人、「タピオカが食べたい」という人が対立したとき、「ミルクティーにタピオカを入れて飲む」という解決策を生み出すみたいな。
この世には、そうやってアウフヘーベンされながら生み出されたものも多くあるけれど、私たちはまだ「ミルクティーが飲みたい」と言い張って、「夏は暑いでしょ?喉が渇くでしょ?汗をかくでしょ?水分が必須でしょ?タピオカじゃとれないよね?はい論破!」なんて言ってる。でしょ?
……
脳科学者の茂木健一郎さんが、こんなことを仰っていた。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/06/28/.html
そうだと思う。論破してもいいけどさ、それで人生がうまくいかなくなるのはさ……ダサくない?
複雑さを複雑のまま、扱いたいだけなのよ。心地良い境界線を探すために、新しい世界を創っていくために、ディスカッションがしたいだけなのよ。だって人間って、複雑な生き物だもん。
わかるよ。あなたの気持ちも、あなたの主張もわかる。悔しかったのに、傷ついたのに、わかってもらえなければ辛いよね。しんどいよね。でも、誰もあなたを否定したいわけじゃないんだ。だから、境界線を探してみない?新しい形を、一緒に生み出してみない?
P.S
このブログは私の意見であり、「あくまで一個人の意見」「なんか言ってるわ」と思ってもらった上で「そうじゃない側」の意見を聞きたい、アウフヘーベンしていきたい気持ちで書いています。
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