『数字や科学、見えるものを好む人』と『心理や感情、見えないものを好む人』。あなたはどっち?

AとB

A:自分がどういう人間なのか、どう変わってるのか知りたくて、多くの人と関わりながら人間の研究をしてきたけど……キリがないし、1,000人に会ったところで全人口の1%にも到底及ばないし、研究だけで人生終えるのもなぁ……って。

B:Aの大学の先生って「数をとって傾向を見ましょう」っていうより、「1人1人違うものを丁寧に見ていきましょう」っていう感じじゃなかった?

A:そう!よく知ってるね。正に「1人1人に寄り添いましょう」って感じ。

B:聞きたかったのだけれど、それ、1,000人に寄り添ったとして何かいいことあるの?

A:1,000人に丁寧に寄り添ったら、ただ1,000人の丁寧な事例が並べられるだけ(笑)その事例を分析してやっと、傾向を調べることができる。あとは、自分に似ている人を選択して見ることもできる。

B:選択して見る?

A:例えば、自分と同じ悩みを持つ人の話を聞きたいって思うのと同じ。本を読むように、一般人が研究事例を選択して見ることがある。

B:なるほど。専門家の分析は何のためにするのだっけ?傾向を見るため?

A:そう。並んでいるだけのサンプルから、傾向を見つけて、まとめて、分かりやすくする。それに、分析過程で新しい発見があるかもしれない。

B:そこに興味持てるのが、すごいな。

A:どういうこと?

B:Aがやってきたことって、人に寄り添って、結果を並べるだけでしょ。

A:そうだよ。その1人1人の過程と、導き出される傾向が面白い。

Bでも調査する人たちなんて、関わらなければ知らないで終わる人たちじゃん。それに、その人たちを知ったからと言って、自分には関係ない他人のストーリーだなと思う。

A:それはその通り。

B:小説を読むのと、同じ感覚なのかな。

A:小説より、リアリティだよ。自分自身に関わる部分が見つかるのはおもしろくない?さっき言ったように、自分と同じ悩みを持つ人の話を聞きたいのと同じ。

B:自分と一緒だなって思うことある?

A:全く一緒だ!とは思わないけれど、似ているなって思うことはあるよ。私とこの人は、どの部分が似ていて、どの部分が違っているんだな……って。

B:私、自分に似てるって思う人に出会ったことないんだよね……

A:単純に、多くの人間と関わっていないだけじゃないかな?あと、人に丁寧に寄り添う目的として、それぞれの悩み解決の糸口を見つけたい思いがある。

B:……やっぱり私は、自分と関わりのない人が助かろうが助からなかろうが、どうでもいいと思ってしまう。

A:でも、Bだってよく悩んでいるでしょ。似たようなことで苦しんでいる人が他にいて、その人たちに共通する解決方法があったら知りたいって思わない? 

Bだから、統計的に「これが絶対に効きます」っていうのを1つ教えてくれたらそれでいいの。「人それぞれいろんな解決策があります。まずは、同じような人の話を聞いてみましょう」っていうのには興味がない。

A:数集めて、正確な統計をとって、結果だけ教えてくれと(笑)

B:そう。

A:言っていることは分かるけれど、結局それ誰かが研究した後の話だから(笑)それをやっているのよ、そして分かったことは人間の心理や感情って統計とれるものじゃないからなぁ……ってこと。

B:例えば私が鬱病だったとして「運動で、鬱病が治る人が多かった」って言われたら「それならやってみようかな」と思う。鬱病になった人たちがどういう悩みを抱えていて、どんな家庭で育って、学校でどんな経験をして、どんなことを思って成長したか……を聞く時間は、手段を聞く時間に充てたいのよ。その人の経緯や考えには、全く興味がない。

A:それは先生も私も、もう何もできなくなる(笑)

B:だから先生もAもすごいなって。

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