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B:人の話を聞くのが楽しいってすごいよ……A、心理カウンセラーとか楽しくできそうじゃない?
A:臨床心理士になろうと思ったこともあったけれど、感受性が強すぎて、悩んでる人と一緒に落ちちゃうって先生に言われたんだよね(笑)案の定、去年は感情にやられちゃったから。臨床心理士や心理カウンセラーって、悩んでいる人と一緒に落ちない人が向いてると思う。
B:確かに、毎日「死にたい」って人が来たら病むね。
A:人間には共感性が備わっているから、自然なことだよ。「メンヘラが移る」って言われているのもその通りで、仕組みとしてそうなるようにできている。ただ共感性の強さは人それぞれだから、それぞれ適した役割があるんだなって。
B:病んでいる人を相手にしない、キャリアコンサルタントは?
A:就活相談みたいなの?考えたよ。それから教員免許は取った。
B:教員免許を取ったんだ。教師って、一対一で向き合うっていうより、大勢に「こうしなさい」って一方的に言うイメージが強いけど。
A:嫌なイメージだなぁ(笑)大勢に対して一方的になりがちだからこそ、一対一でちゃんと向き合えるようになりたいって思うよ。でも自分がこんなちっぽけ人間だから、まだまだ教師にはなれないなって。
B:教師になりたいの?
A:教師になりたいというより、どんな形であれ教育には携わっていたいな。教育は、未来に大きな変化を生み出せる手段じゃん。
B:私、そこに希望は見い出せない。裕福な家庭がいわゆるエリート教育をして、全体のレベルが上がっていくイメージ。
A:それも一つの教育の形ではあるけれど……一つの形でしかないよ。
B:教育と日本を変えることとは、直接結びつかないよね?
A:いや、これからの日本をつくる子どもたちが教育を受けるわけだから直接結びつくよね?起業家、事業主、これまで出会った日本の問題を解決しようと頑張っている人たちが行き着く先が「教育の変革」であることが多かったし、私もそうだなと思っている。すぐに変えられるものじゃないけれど、義務教育のアップデートから目指していきたい。
B:義務教育をアップデートしたところで、劇的にみんな頭が良くなるわけじゃないよね?めちゃくちゃ頑張って、ちょっと成績が上がるかなぐらいじゃない?
A:Bは、頭が良くなること、つまり成績が上がることが目的だってこと?その指標自体、変えることになる可能性もあるよね。
B:どういうこと?
A:例えば、この前Bが「自己表現がこんなに評価される時代になるなら、昔からもっと自分の意見を言っておけば良かった」って言っていたけど、正にそういうこと。勉強して成績が上がることだけが正しいわけじゃなくて「自由に自己表現ができること」も正しい指標になるよね。
B:それは、日本が変わってることに追随することじゃない?
A:どういうこと?
B:「自己表現ができる時代」っていうのは、既に日本がそういう時代に変わってるっていうことじゃん。教育によって、日本を変えているわけじゃないよね。
A:それ、にわとりたまご(※鶏が先か、卵が先か。どちらが先かわからないこと)だよ。よく「時代が変わった」と聴くけれど、時代なんて概念作って変えているのはそもそも人間だからね。
B:でも、自己表現が重要じゃなかったら教育も変える必要ないでしょ。世の中が先に変わってる現象がある。
A:自己表現が重要、とは言っていないよ。自己表現したくない人がいるなら、当然それはそれでいい。要は世の中をつくっているのは私たちだから、自分の頭で自由に考えることが重要なわけで。
B:私、そもそも教育って、「何かから遅れている人を助けてあげる」ことだと思っているのだけれど。
A:おっと、そうなんだ……教育の定義が、Bと大きくズレているんだ。
B:そうかも。例えば、昔の日本で村八分(※村や人を仲間外れにすること)があるときに「皆と違うことを言って大丈夫だよ!」っていう教育はしないでしょ?「仲間外れにされないように、目立たないようにしましょう」っていう教育意識のほうが、きっとみんな強くなる。教育って、世の中の流れに従って生まれるものだと思うんだよね。
A:村八分があるなら「村八分って何であるんだっけ?これ、あっていいんだっけ?」って立ち止まって考えるのが教育だと思ってる。もちろん自由な時代になった今だからこそできることだけれど、それ以前に教育こそが世の中の流れをつくると思っている。
B:私のイメージだと、それは教育というより普及活動だな。教育って、どうしても上から下に降りてるイメージなんだよね。
A:教育の定義自体、人によって違うんだな。そもそもこれが問題だよ。定義を統一する必要はないけれど、せめて各々考えて話し合う機会がないと。たった2人でズレていては、変革なんてできない(笑)
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