A:こころの病気の研究をずっとしていると、「この人は、この病気だろうな」と思う人は周りに多くいる。
B:お医者さんと同じなのだよね。あの人、右足捻挫しているな〜とか分かっちゃう。
A:そうそう。例えば、アスペルガー症候群。人の気持ちが極端に分からなかったり、嘘をついたり、「自分さえよければそれでいいです!」っていう側面が大きかったりすると、第三者を傷つけるから表面化しやすいのよね。
B:確かに、アスペ(※アスペルガー症候群の略)の兆候だね。
A:因みにBは、兆候とかいつも何で調べてるの?
B:え、本とかネットとか。
A:本はともかく、信頼できるサイトってなかなかないよね。
B:なかなかないし、今の定義も将来変わるんだろうなと思ってる。
A:うん。こころの病気は新しいから定義はまだまだ大きく変わると思う。今は厚生労働省がまとめているサイトと、あとはMSDっていうアメリカの製薬会社がかなり細かくまとめているサイトを私はよく見るよ。MSDは「医学辞典」の主に「精神障害」のところ。
こころの病気を知ろう みんなのメンタルヘルス
e-ヘルスネット
MSDマニュアル プロフェッショナル版
B:私もよく見ている。今はサイトを何個か見て、被っている情報を信じるしかないよね。
A:うん、1つのサイトだけを信じるよりは、いくつか見たほうがいいと思う。って今の世の中、みんなそうしてるか(笑)
B:情報社会だからね〜(笑)
A:アスペの話に戻るけれど、アスペルガー症候群で載ってるサイトってあったっけ?
B:ほとんど「自閉症スペクトグラム」で載っていた気がする。
A:アスペルガー症候群、自閉症と一緒に「自閉スペクトラム症」にまとめられたのよね。(厚生労働省のサイトを見て)あった。
B:発達障害に分類されているね。
A:自閉スペクトラム症は「コミュニケーションの場面で言葉や視線表情を、身振りなどを用いて総合的にやり取りをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手によって気持ちを読み取ったりすることが苦手。特定のことに強い関心を持ったりこだわりが強い感覚の過敏さを持ち合わせている場合もある。」って。
B:こうやって病気の特徴を言い出すとさ、みんな、どれかには当てはまるよね。
A:そう。みんな、どれかの特徴には当てはまる。
B:ワイズ(WAIS)とかウィスク(WISC)とか検査があるけれど、それを説明している人で「能力の程度×自分の気にしている度合いで病気や障害って決まるんじゃない」って唱えている人がいて。
A:うんうん。
B:例えば、症状に明らかに当てはまっている障害者がいても「周りの人がどう思おうと、自分には影響ありません!」っていう人だったら困らないんだよね。アスペだろうが、サイコパスだろうが、第三者から見たら「障害」だけれど、本人はそう思っていないから悩むこともない。だからそれを「障害」って呼ぶのはおかしくないかって。
A:そうね、本人は困っていないからね。
B:逆に症状は軽度だけど、すっごい周りの目が気になって、生きづらい、自殺したいみたいな人は「障害」って言ってあげた方がいいんじゃない?って。
A:診断項目に確実に当てはまる障害者でも、困っていなければ「障害者」って名乗る必要性がないってことよね。
B:そうそう。
A:第三者に影響を与えていたら話は変わるけれど、こころの病気は、身体の病気に比べて「どこからが病気です。どこからが障害です」って一概に言えないのよ。
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