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これまでの記事で書いてきたが、心の病気は定義することが難しい。「どこからが病気です、障害です」と、今も、恐らくこれからも言えない。
だが基準がなければ、そもそも話を進めることが難しい。過去にアメリカ、ヨーロッパ、日本東西それぞれが、それぞれの基準で診断をしていた結果、診断の不一致が起きて混乱したらしい。
ただでさえ不安なのに「東京で受けた診断と、大阪で受けた診断結果が違いますけど!?どうゆうこと!?」なんて更に不安になってしまうのは避けたいところである。
そこで、今の段階で診断基準とされているものがある。あくまで、“今の段階”で。
「こころの病気」に関する記事を書くことがあると思ったので、「一応この基準を参考にしています」ということを記載しておこうと思った。
代表的な基準は2つ、「DMS」と「ICW」だ。
〜DMS〜
「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の略。日本語は「精神障害の診断と統計マニュアル」。
アメリカ精神医学会が出版した書籍であり、世界保健機関はじめ国際的に広く用いられている。これまでに何度も、それも割と短期間でアップデートされている。これからも確実に変わっていくだろう。
〜DMSの歴史〜
DSM-I (1952年)
DSM-II (1968年)
DSM-II第7版(1974年)
DSM-III (1980年)
DSM-III-R (1987年)
DSM-IV (1994年)
DSM-IV-TR (2000年)
DSM-5 (2013年)←Now
はっきりと定義できないものであるが故、もちろん批判者もいる。同じアメリカでも、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)はDMSをあまり良く思っていないらしい。
参考 American Psychiatric Association「DSM-5」(原文) https://www.psychiatry.org/psychiatrists/practice/dsm 公益社団法人日本精神神経学会「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」 https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=40 LITALICO仕事ナビ「DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)とは?」※とてもわかりやすいサイトである。 https://snabi.jp/article/127
〜ICD〜
「International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems」の略。日本語は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」。
世界保健機関が作成している国際的な診断基準だ。こちらも定期的にアップデートされている。
DMSは精神疾患のみを、ICDはすべての疾患を対象にしているのが大きな違い。精神疾患の分類はほとんど同じではあるものの、分類名や診断名が異なるものもある。
日本の診断にはDSMとICDがどちらも使われているが、公式な診断や報告、行政的な認定などには基本的にICDが用いられている。
https://icd.who.int/en
LITALICO仕事ナビ「ICD-11(国際疾病分類第11版)とは?」
https://snabi.jp/article/176「すごい!ここまで明文化されているじゃん!」と思うが、最近やっとできたものである。苦しんでいた人たち、本人だけではなくその周りの人たちが声をあげ続けて、ここまできた。そして何度も言うのがあくまで“今の診断基準”である。
これからも確実に変わっていく、それは誰かの叫び声を聞いて。
ということは、声をあげて変えていくことができるのは私たちでもあるということだ。
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